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2020-05

黒川ドッチラケ辞任「アッキー」へのブーメラン

 この時期の賭け麻雀。はじめ賭け麻雀が出ると聞いたとき、まさか現在進行形のそれだとは思いもしませんでした。さすが週刊文春。ただし、どうもスッキリしません。賭け麻雀は賭博罪だから摘発すべしという意見もあります。記事によれば、ひと晩10万円も動いたといいますが、それはハイヤーのドライバーからの間接証言で、ここから捜査が展開されるとは思えません。
 麻雀そのものは程度の問題で、何も賭けずに麻雀する人がいるでしょうか。つまるところ、いくらストレスがあったとはいえ、よりによってこの時期に、検察ナンバー2がやったという話。黒川さんの辞任はドッチラケの肩透かしというほかなく、こうなると、アッキーも同罪ではないでしょうか……。
 検事長は内閣が任命するのだから、定年延長も内閣が判断する――。森雅子法相に辞表を出した東京高検検事長の閣議決定はそういう趣旨だったのでしょう。その判断が検察庁法に触れる恐れが高いのは繰り返すまでもありません。浅はかな定年延長を受け入れた黒川さんに責任があるのは間違いないでしょう。問題はなぜそうなったのか、そこを忘れないようにしたいものです。
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検察庁法改正一転「強行採決見送り」のわけ

 政府与党があれだけ拘っていた検察庁法改正の採決が見送られる見通しになった模様です。検察官は他の国家公務員と同じ行政官なのだから、国公法に定められている定年延長を認めろ、と主張してきた安倍首相。それを引っ込めた格好です。とつぜんの変化はなぜでしょうか。その理由は5月15日の『言論テレビ 安倍首相に「検察官定年延長問題」を聞く』の思わぬ反響かもしれません。
 ここで首相はインタビュアーの櫻井よしこさんに、1月31日に閣議決定した黒川弘務東京高検検事長の定年延長について「ぜんぶ法務省から官邸にもってきたものですね。(官邸は)なんら働きかけていないのですね」と振られ、すぐさま「ハイ」と名言。さらに「私自身(黒川さんと)2人でお目にかかったこともないし、個人的な話をしたこともありません」と答えました。
 すべて法務省が決めたもの、と官庁に押し付ける常套手段は、もとよりインタビューで用意された想定問答なのでしょう。しかし今度ばかりはありえない話です。官邸による法務省人事の差し戻しはこれまでも書いてきたとおり。さらに昨年11月に法務省が官邸に黒川の後継人事案を出した折もそう。黒川さんを処遇するよう、差し戻されたといいます。その挙句に定年延長の閣議決定。
 また黒川さんと安倍首相との面談についても、過去の首相動静に書かれています。「秘書官も交えているので2人だけではない」とご飯論法を展開するかもしれませんが、櫻井さんは「法務省内で定年延長の議論を始めたのが2018年の晩秋で、19年から刑事局で本格的に議論されてきた」とまで時系列を並べ、首相も「その通り」と……。
 さすがにここまで言うと、その法務省内の協議文書はどこにあるのか、と突っ込まれる。とどのつまり採決見送りは、予想外の反発でそこにハタと気づき、虚偽がばれると拙い、と判断したのでは。

検察庁法改正の論点

 今さら嘆くことではないかもしれませんが、テレビコメンテータたちの理解があまりに浅いのでひと言。
10本の法案審議をひとくくりにした今度の国家公務員法ならびに検察庁法の改正では、定年延期と定年年齢の引き下上げという別の問題に分かれます。そもそも昨年10月に政府が打ち出した改正案の主眼は、社会通念に合わせて国家公務員の定年を60歳から65歳に引き上げようとしたものでした。検察官は63歳定年であり検察庁法に定められた例外扱いなので、このときはそこに入っていませんでした。一方、定年延長については、国家公務員のそれは従来から認められていますが、検察庁法により検察官にはその規定がなく、認められていません。つまり定年延長と定年年齢の引上げはまったくの別物です。
 政府与党はそれを今回いっしょくたにして、国公法の改正の中に検察庁法の改正を紛れ込ませようとしました。なぜ、10月の法改正では存在しなかった検察官の定年延長を認めるよう、検察庁法を改めようとするのか、と野党が問うと、与党自民党はこの間の検察官に関する勤務の変化だといいます。つまりその変化は黒川さんの定年延長の以外にありません。1月31日の閣議決定だと認めているようなものなのです。おまけに今度の改正案では、内閣の判断で定年延長できるとも謳っています。内閣の判断?が、その判断基準は存在せず、2年後の法の施行後までにつくるというのですから話になりません。
 この法改正について、検察の人事は慣習により内閣が関与しないことになっている、とおっしゃるコメンテータもいます。だが、これは慣習のひと言で片づけられる問題などではありません。検察庁法に基づいて政府がそう決めたものです。だからこそ安倍さんは1月31日の閣議決定で法解釈の変更をしたなどという詭弁を持ち出した。日付のない行政文書を使い、官僚の答弁が二転三転したのはそのためでした。そこを理解した上で議論しないと話になりません。
 まず閣議決定したあとに慌てて法解釈の変更を持ち出し、さらにそれを追認するために国公法に紛れ込ませて法改正をしようとしている。それが今の国会審議なのは明らかで、いわば法改正はあと付けのあと付けというほかありません。
 自民党議員もそれはわかっているはずなので、改正を思いとどまるよう進言する人がいてもよさそうなものですが。

検察庁法改正抗議ツイートはホンモノ

 ツイッターの「#検察庁法改正案に抗議します」投稿がついに700万件に上っているそうです。火事場泥棒とまで非難された強引な法案審議入りに対する怒りはむろん頷けるし、自民党の森山裕国対委員長などは「世論のうねりは感じない」と強がっていますが、国民の関心が高いのは間違いないでしょう。
 なぜこんなに投稿が増えたのでしょうか。そこについて、今日の朝日新聞が分析しています。国会審議りした8日午後8時から11日午後3時までの473万件を分析したとする東大の鳥海不二夫准教授によれば、アカウント数の2%にあたる1万2000件がRTを繰り返し、全体の半数を占めているとのこと。その1万人あまりがコアな投稿者なのは間違いないでしょうが、わずか3日足らずでこの数字はけっこうなもの。一見、その1万人あまりが投降を拡散させているように思えるかもしれません。が、そうではなく、473万件の半分、236.5万件がそれ以外ということになります。つまりコアな投稿者だけで盛り上がっているのではありません。
 アカウント数そのものは1万件どころではなく、58万8000件に上っています。おまけに昨日までの投稿数は、当初の473万件からさらに1.5倍近い700万件に増えているのですから、少なくとも世論はうねりまくっているのでは。

国と大阪「西村VS吉村」コロナ対立の考察

 西村康稔経済再生担当大臣が大阪府の吉村洋文知事に「何か勘違いしている」と皮肉ったことから始まった国と大阪府のバトル。しょせんはどちらも自己アピールしているだけにすぎないように見えますが、政府が地方自治体に押されている感は否めません。なぜそうなっているのか、少し法的な問題から考えてみました。
「第三次世界大戦」と表現した安倍首相のみならず、今度のコロナ禍については「戦時下」にたとえるリーダーが目立ちます。それ自体、違和感を覚えます。諸外国は戦争に対する負のイメージが薄いからなのか、あるいは戦時下にたとえたほうが緊急事態の規制を厳しくやりやすからかもしれませんが、国の危機管理能力を問われる緊急事態だということは疑う余地のないところでしょう。
 日本政府は、日頃から、危機管理の対象となる20種類の事態を想定しています。地震や風水害などの「大規模自然災害」、鉄道や道路、原発などの「重大事故」とテロやミサイル襲来などの「重大事件」、戦争などの「武力攻撃事態」、新型インフルエンザ(ヒト・ヒト感染)は「その他」に分類されています。それらにどう対処するか、事態ごとに特別法を制定して対処していますが、その考え方の基本となる法律が「災害対策基本法」「事態対処法」「国民保護法」の3法です。言うまでもなく戦争や武力衝突などの有事には事態対処法が適用されます。で、「その他」のコロナはどうかといえば、やはり災害対策基本法か国民保護法の範疇でしょう。
 もともと災害対策基本法に基づく日本のシステムは、欧米のような命令や統制型の危機管理システムではありません。そこには歴史的な背景があり、地方自治体が責任を負う分権的な対応をすることになっており、それが国と大阪の対立の根っこにある。西村さんと吉村さんはそれをご存じかどうかわかりません。
 これでいいわけがありません。その問題は次稿に譲ります。

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プロフィール

森功

Author:森功
福岡県出身のノンフィクション作家。08年「ヤメ検」09年「同和と銀行」(ともに月刊現代)の両記事で2年連続「雑誌ジャーナリズム賞作品賞」。18年「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)が大宅壮一ノンフィクション賞受賞。
主な著作は「サラリーマン政商」(講談社)、「黒い看護婦」「ヤメ検」(ともに新潮文庫)、「許永中」「同和と銀行」(講談+α文庫)、「血税空港」「腐った翼」(幻冬舎)、「泥のカネ」(文藝春秋社)、「狡猾の人――防衛省を食い物にした小物高級官僚の大罪」(幻冬舎)、「なぜ院長は『逃亡犯』にされたのか――見捨てられた原発直下『双葉病院』恐怖の7日間」、「大阪府警暴力団刑事『祝井十吾』の事件簿」(講談社)、「平成経済事件の怪物たち」(文春新書)、「紛争解決人 世界の果てでテロリストと闘う」(幻冬舎)、「現代日本9の暗闇」(廣済堂出版)、「日本を壊す政商 パソナ南部靖之の政・官・芸能人脈」(文藝春秋)、「総理の影 菅義偉の正体」(小学館)、「日本の暗黒事件」(新潮新書)「高倉健 七つの顔を隠し続けた男」(講談社)、「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)、「地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団」(講談社)など。最新刊は「官邸官僚 安倍一強を支えた側近政治の罪」(文藝春秋)

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