2017-08

内閣支持率「微増」の考察

 内閣改造後の支持率の状況をみると、26%だった毎日が35%、読売が42%で歯止めがかかったとし、日経も3%微増で読売と同じ42%。そもそも毎日は他のメディアに比べてかなり低かったので、全体でみれば、内閣支持率は少しだけ回復したといったところでしょうか。
 改造後のマスコミ全体の対応で見ると、森友・加計問題の扱いが大きい朝日や毎日と読売などとの違いはさもありなん。ですが、やはり気になるのはテレビの報じ方でしょうか。「実力内閣」「仕事内閣」と持ち上げ、経済最優先で成果をあげられるかどうかが支持率回復の分かれ目などというコメントが目立ちます。しかし、支持率急落は、単に森友・加計疑惑の説明のおかしさが原因だから、そこが最大の問題でしょう。せっかく安倍さんがテレビに出ているのだから、国会で追及できなかった点をもっと突っ込んで聞けばいいのに、お追従ばかりで、なんとも上滑り感が否めません。換言すれば、内閣支持率の微増はそうしたテレビ局のおかげでしょうけど。
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迷走する「安倍政権」の内閣改造

 小野寺さんの防衛大臣起用が濃厚な内閣改造。これといって目玉がないどころか、藪蛇になりかねないのではないでしょうか。小野寺さんといえば、パソナの仁風林メンバーで、安倍首相にとってはお友達(南部代表)のお友達。岸田派ではありますが、その岸田さんの外相続投について、日経新聞では自民党政調会長へ、とうっており、事実なら、内閣の骨格と位置付ける外相ポストが代わることになります。茂木政調会長との交代もあるかもしれませんけど、となると後継首相候補の岸田さんを閣内において反旗を翻すのを防ぎたい安倍首相の目論見が崩れることになります。
 また文科大臣として伊吹さんに打診して断られたといいますが、そもそも衆院議長経験者に頼むこと自体がどうかしています。文科大臣は来る8月末の加計学園獣医学部新設認可を下す当事者になるので、荷が重い。松野さんの続投、そのあとに辞任なんてこともありえるかも。予想以上に厳しい内閣改造になりそうです。

加計学園「事前相談」そのものがアウト

 昨日のワイドスクランブル(テレ朝)でも触れましたが、集中審査で新たに発覚した文科省の文書について、不可解な点があります。というかポイントを外しているようにも感じます。
 くだんの文書は、昨年11月9日の国家戦略特区諮問会議の前の8日、文科省の担当者が加計学園に対して電話での「事前相談」に乗り、例の4条件をクリアーできるよう指示したというものです。そのアドバイスを京都産業大学にはせず、加計学園だけにしたということから、「依怙贔屓ではないか」との批判があがっています。
 こうした文科省の事前相談は、通常の大学、学部・学科の設置申請の時におこなわれます。3月末の申請期限の半年~1年ほど前から文科省が受け付けているようですが、今度の場合は、まだ文科省の獣医学部新設の規制が解かれる前だからそれができないはずだ、と前川前事務次官が指摘してきました。で、文科省の大学設置室に尋ねてみたところ、どうも根本的に話が違うのです。
 事前相談では、どうしたら設置認可をクリアーできるか、とアドバスしてしまえば、設置審が判定する前の「事前審査」になってしまうので、それは厳禁です、と。つまり、所得税の確定申告の時、どうしたら節税できるか、税務署がアドバイスしないのと同義だそうで、さもありなん。もっとも、実態はといえば、文科省OBなどが学校法人のコンサルタントとして現役とのパイプ役を担ってアドバイスをするのだそうで、それで設置認可を得やすくする――。
 今回の場合、設置審ではなく、国家戦略特区の審議会に対するそれなのですが、つまるところ意味合いは同じ。というより学部新設が認められていない中での事前相談によるアドバイス。こんなことまで強制されてきたた文科省がせめてもの抵抗として文書を残した、それこそ「行政が歪められている」証拠として。

勝負に出た!?「獣医師会」の攻勢

 国会閉会中審査の直前という絶妙のタイミングで、日本獣医師会の議事録が出てきました。獣医師会はこれまで安倍政権や政府との距離感をはかりながら、加計学園の獣医学部新設に反対の表明をしてきたイメージ。もとより京都産業大学の新設にも反対ですから、加計だけならいいか、という態度でしたけど、ここへ来て、議事録を出してきたというのは、安倍政権に対しあからさまに反旗を翻したことになる。
 誰がこれを了承したのでしょうか。というより獣医師会のバックにいる麻生太郎さんの了解なしにこれはできなかったのではないか、とも思えます。麻生さん、表向き、安倍政権を支えるといいながら(これからもそういうでしょうけど)、その実、ニンマリしている? それに比べ、岸田さんは相変わらずのようで、そのあたりの政治感覚の違いがここへ来て表れているかも。

どうすれば加計理事長を国会招致できるか

 もはや誰もが疑わない国家戦略特区の加計ありき。元愛媛県知事の加戸守行さんのおっしゃる通り、10年以上前から計画されてきたものですから、当たり前といえば当たり前の話でしょう。それだけ因縁深いということ。なお安倍さんとも親しい加戸さんの発説明では、小泉構造改革特区を利用したとはいっていますけど、それが第一次安倍政権当時の発案という点については触れていません。国民の知りたいポイントは、安倍さん自身とその側近、お友達がここにどう関与したか、。それもまた、もはや疑いようのない話でしょう。
 で、ここはやはり加計孝太郎理事長に国会で説明してもらうのがいちばんなのですが、そこは自民党が猛反対しているようです。加計さんの件でいえば、下村博文元文科大臣からの裏献金疑惑が浮上したまま。認可権限のある裏献金となれば、その点だけでも国会招致できるのではないでしょうか。パフォーマンスに終わることがなきよう、野党もそのあたりもう少し考えてもらいたいものです。

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プロフィール

森功

Author:森功
福岡県出身のノンフィクションライター。08年「ヤメ検」09年「同和と銀行」(ともに月刊現代)の両記事で2年連続「雑誌ジャーナリズム賞作品賞」受賞。主な著作は「サラリーマン政商」(講談社)、「黒い看護婦」「ヤメ検」(ともに新潮文庫)、「許永中」「同和と銀行」(講談+α文庫)、「血税空港」「腐った翼」(幻冬舎)、「泥のカネ」(文藝春秋社)、「狡猾の人――防衛省を食い物にした小物高級官僚の大罪」(幻冬舎)、「なぜ院長は『逃亡犯』にされたのか――見捨てられた原発直下『双葉病院』恐怖の7日間」、「大阪府警暴力団刑事『祝井十吾』の事件簿」(講談社)、「平成経済事件の怪物たち」(文春新書)、「紛争解決人 世界の果てでテロリストと闘う」(幻冬舎)、「現代日本9の暗闇」(廣済堂出版)、「日本を壊す政商 パソナ南部靖之の政・官・芸能人脈」(文藝春秋)、「総理の影 菅義偉の正体」(小学館)など。最新刊は「日本の暗黒事件」(新潮新書)

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