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2008-01

新潮45

昨日、現代の締め切りの関係でブログ更新を忘れてしまいました。つきましては、というのも何ですが、昨日発売の新潮45に寄稿した拙文のさわりを以下に記します。住友銀行名古屋支店長殺しと「不良債権」の深すぎる闇――ノンフィクションライター森功――。暇つぶしにどうぞ。

<1.反社会勢力に関する情報を収集し、各金融機関で共有してりようできるよう、体制構築の検討に着手する。
2.反社会的勢力との融資取引等について、反社会勢力との取引であることが判明した場合等には、契約解除を可能とする対応について、規定の整備等を含め検討に着手する>
「反社会的勢力介入排除に向けた取組み強化について(案)」と題された文書が手元にある。昨(2007)年7月24日付、作成者は全国銀行協会だ。文字どおり、暴力団をはじめとする反社会組織との取引に関する申し合わせである。
<当協会では、本指針の策定の趣旨を踏まえ、不当な資金源獲得活動の温床になりかねない取引を根絶するため、反社会的勢力とは断固として対決することを改めて申し合わせる>
 これまで銀行界は、ことあるごとにアングラ勢力との決別を謳ってきたが、実態はむしろ逆。大阪の飛鳥会事件を例に挙げるまでもなく、裏社会との腐れ縁を延々と露呈し続けてきた。
そんな銀行界が、遅ればせながら、ようやく業界として「反社会組織の情報の共有」や「契約解除」などに踏み切るという。文書の発信者が、全銀協会長の奥正之三井住友銀行頭取である。
現役の支店長が自宅で射殺されるという衝撃的な事件から実に13年あまり。金融界は常に闇社会の影に怯え、決定的な打開策を打ち出せないできた。住銀名古屋支店長射殺事件は、その大きな遠因の一つに数えられる。それほどインパクトのある出来事だったといえる。事件はその後、凶器を手に〝自首〟した老人が出現するなど、奇怪な様相を呈した。が、いまだ実行犯は検挙されていない。
住銀名古屋支店長射殺事件は、1994年9月14日早朝に起きた。
「マンションの10階で急病人が出ている」
7時18分、名古屋市内の千種消防署にもたらされた奇妙な通報によって発覚する。知らせを受けた3人の救急隊員が、住銀名古屋支店の畑中和文支店長(54)=当時=の部屋へ駆けつけると、ぎょっとした。男性が玄関先で眉間を一発で撃ち抜かれたまま、エレベーターホールの壁に右肩をもたせかけ、うなだれている。どうみても即死だった。
映画さながらの凄惨な殺害現場が報じられると、金融関係者のみならず、誰もが息をのんだ。だが、愛知県警特別捜査本部の捜査は難航を極める。原因のひとつは、住銀側が心当たりのある取引関係の詳細を明かさなかったからだとされる。被害の広がりを恐れからだとも伝えられた。
殺された畑中支店長は65年に大阪大学を卒業後、住銀入りしたエリート銀行マンだ。布施支店を皮切りに、本店営業部を経て総務部で8年間勤務した。そこで頭角を現す。総務部次長を経験したのち、87年から大阪の梅田北口支店、京都・四条支店、大阪・船場支店など関西の支店長を歴任し、91年に重役に抜擢される。その年に名古屋支店に就任した。
そんな華やかな経歴の一方、都銀幹部の間からは次のような声もあがっていた。
「総務畑が長かった畑中さんの手腕はトラブル処理で発揮された。もともと大阪を拠点に発展してきた住友銀行は、山口組をはじめ関西の暴力団関係者との縁が深かった。それは東京進出を図って進めた86年の平和相互銀行の合併以後、ますます顕著になる。当時、住銀で昇り詰めるには、トラブル処理でどれだけうまく立ち回れるか、がポイントとさえ言われたほどです」

 続きは書店で。
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プロフィール

森功

Author:森功
福岡県出身のノンフィクション作家。08年「ヤメ検」09年「同和と銀行」(ともに月刊現代)の両記事で2年連続「雑誌ジャーナリズム賞作品賞」。18年「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)が大宅壮一ノンフィクション賞受賞。
主な著作は「サラリーマン政商」(講談社)、「黒い看護婦」「ヤメ検」(ともに新潮文庫)、「許永中」「同和と銀行」(講談+α文庫)、「血税空港」「腐った翼」(幻冬舎)、「泥のカネ」(文藝春秋社)、「狡猾の人――防衛省を食い物にした小物高級官僚の大罪」(幻冬舎)、「なぜ院長は『逃亡犯』にされたのか――見捨てられた原発直下『双葉病院』恐怖の7日間」、「大阪府警暴力団刑事『祝井十吾』の事件簿」(講談社)、「平成経済事件の怪物たち」(文春新書)、「紛争解決人 世界の果てでテロリストと闘う」(幻冬舎)、「現代日本9の暗闇」(廣済堂出版)、「日本を壊す政商 パソナ南部靖之の政・官・芸能人脈」(文藝春秋)、「総理の影 菅義偉の正体」(小学館)、「日本の暗黒事件」(新潮新書)「高倉健 七つの顔を隠し続けた男」(講談社)、「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)、「地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団」(講談社)など。最新刊は「官邸官僚 安倍一強を支えた側近政治の罪」(文藝春秋)

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