ヤメ検最終回
どこから伝わるのか、注目度の高い刑事事件の公判では、必ずといっていいほど傍聴マニアが押し寄せる。この日も、出廷予定者がほとんど無名だったにもかかわらず、東京地方裁判所の玄関先は、傍聴希望者が長蛇の列をつくっていた。出廷する被告人の名は河江浩司(43歳)。昨夏、話題になった朝鮮総聯(在日本朝鮮人総聯合会)中央本部ビル詐取事件の被疑者の一人だ。2月8日、事件における初めての公判が開かれた。
午前10時ちょうど、河江が東京地裁で最も広い104号法廷に入ってきた。淡いグレーのセーターにベージュのチノパンというラフな格好をしている。身長は175センチぐらいあるだろうか。白髪まじりの胡麻塩頭のせいで、42歳の実年齢より老けて見える。 通常の刑事裁判と同じく、検察官による起訴状の朗読から始まった。
「公訴事実。被告人緒方重威は、第二東京弁護士会所属の弁護士兼ハーベスト投資顧問株式会社の代表取締役、被告人満井忠男は、不動産販売業等を営む株式会社三正の代表取締役、被告人河江浩司は、経営コンサルタント業等を営むものであるが、被告人3名は、在日本朝鮮人総聯合会中央常任委員会財務担当常任委員趙孝済こと趙忠治らが、朝鮮総聯において朝鮮中央会館管理会名義で実質的に所有している別紙物件目録記載の土地・建物の売却先を探していたことから、これを奇貨として、売買名下に同土地・建物を詐取しようと企て……」
事件で最も注目されたのが、起訴事実で真っ先に刑事被告人として読みあげられた緒方重威(73歳)。公安調査庁長官や仙台、広島の両高等検察庁の検事長を歴任してきた法務検察の元重鎮だ。
緒方氏本人の出廷は4月以降になると思われますが、公判は意外な展開をみせそうです。緒方氏の周辺には、本当に奇奇怪怪な人たちが蠢いていますので、続きも是非。