FC2ブログ

2012-09

中央公論「森功の企業事件簿」は「東電ビデオ問題」

 今月号の中央公論「企業事件簿」は「国有化されてなお残る東電の闇」と題して、次のように書きました。

 昨年年三月十一日の東日本大震災、福島第一原発の事故から、はや一年半が経過した。遅々として進まない被災地の復興の中でも、とりわけもどかしいのが原発処理と東京電力に対する事故調査ではないだろうか。原発事故については七月の政府の福島第一原発事故調査委員会を最後に、各調査委員会の最終報告が出そろったが、事故の原因究明には程遠い。責任のなすりつけ合いが浮き彫りになるばかりだ。また翌八月、ようやく事故当時の東電本社と現場とのテレビ会議のビデオが公開されたかと思えば、大部分が隠され、またも東電や関係者たちの隠ぺい体質を露呈してしまった。
 東電は七月三十一日、政府の原子力賠償支援機構による一兆円の出資を受けた。これにより東電は国有化されたことになる。その国有化された会社でなお、自社独自の判断で個人情報を盾にとり、ビデオ会議の公開を都合よく制限していたわけだ。その後、マスメディアに対するビデオ¥会議の追加公開はあったものの、それも全面公開ではなく、公開事項の取捨選択権は東電側にあった。
 いまや東電のオーナーは政府なのである。事故に関する重大事項のどの部分を一般公開するかについては、政府・支援機構側が管理すべきはずだ。あるいはいったん全部をマスメディアに公開し、それを受け取ったメディア側の判断に委ねるという方向もある。だが、政府は国有化しななお、以前と変わらず東電任せ。政府側の姿勢にも大いに問題がある。

 震災から1年半、ここでもまた無駄に時間だけが過ぎています。
スポンサーサイト



«  | HOME |  »

プロフィール

森功

Author:森功
福岡県出身のノンフィクション作家。08年「ヤメ検」09年「同和と銀行」(ともに月刊現代)の両記事で2年連続「雑誌ジャーナリズム賞作品賞」。18年「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)が大宅壮一ノンフィクション賞受賞。
主な著作は「サラリーマン政商」(講談社)、「黒い看護婦」「ヤメ検」(ともに新潮文庫)、「許永中」「同和と銀行」(講談+α文庫)、「血税空港」「腐った翼」(幻冬舎)、「泥のカネ」(文藝春秋社)、「狡猾の人――防衛省を食い物にした小物高級官僚の大罪」(幻冬舎)、「なぜ院長は『逃亡犯』にされたのか――見捨てられた原発直下『双葉病院』恐怖の7日間」、「大阪府警暴力団刑事『祝井十吾』の事件簿」(講談社)、「平成経済事件の怪物たち」(文春新書)、「紛争解決人 世界の果てでテロリストと闘う」(幻冬舎)、「現代日本9の暗闇」(廣済堂出版)、「日本を壊す政商 パソナ南部靖之の政・官・芸能人脈」(文藝春秋)、「総理の影 菅義偉の正体」(小学館)、「日本の暗黒事件」(新潮新書)「高倉健 七つの顔を隠し続けた男」(講談社)、「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)、「地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団」(講談社)など。最新刊は「官邸官僚 安倍一強を支えた側近政治の罪」(文藝春秋)

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する