FC2ブログ

2013-04

桜宮高校体罰「顧問教諭」書類送検にモノ申す

 本日発売の中央公論「森功の社会事件簿」で、大阪市立の桜宮高校バスケットボール部の顧問教諭が大阪府警により書類送検された問題をとりあげました。以下、抜粋です。

 年初来、体罰問題で教育界を揺るがせてきた大阪市立桜宮高校の元教諭が三月二十一日、大阪地検に書類送検された。バスケットボール部の顧問として、主将だった十七歳の男子生徒に指導と称した暴力を振るってきたという。刑事処分の対象が、昨年十二月におこなわれたバスケット部の練習試合の際、体罰によって怪我をさせた傷害と暴行の容疑である。
 捜査してきた大阪府警は、日常化していた教師の体罰が教育や指導という範囲を超えていたと判断。書類送検ではその容疑の程度に応じ、警察が検察に意見を付ける内規があるが、中でも最も厳しい起訴を求める「厳重処分」とともに送検した。これにより、事件発覚以来、報道され続けてきた体罰イコール暴力、自殺の原因という従来の方程式が確立したかのように映る。しかし、果たして真相はそうだろうか。

 文字通り書類送検とは、容疑者の身柄ではなく、書類だけを警察が検察庁に送って検察の判断を待つ。その際、警察内規で処罰に関する警察側の意見を伝える。意見は今度の起訴を求める「厳重処分」のほか、検察に判断を任せる「相当処分」、厳しい処分を求めない「寛大処分」、起訴を求めない「しかるべき処分」という四段階だ。大概、他の三意見なら不起訴に終わるが、「厳重処分」だとそう簡単ではない。警察が元顧問の体罰をそれだけ重く見たということになる。
 広辞苑にあるように、乱暴な行為を暴力だと単純に定義づければ、たしかに今回の行為はそれに当たるかもしれない。また生徒が暴力だと感じれば、指導ではないとする意見も根強い。だが、元教諭の行為が一般に抱く暴力という概念に当てはまるだろうか。取材を通じ、私はそこに疑問を抱いてきた。
 なにより刑事事件で容疑者を犯罪に問う場合、犯行の悪質性や犯意が大きなポイントになる。元顧問による生徒への暴行がどの程度だったか、悪意があったのか否か、という点だ。つまり起訴を要求する罪があるのか、という判断。そこが微妙なのである。実際、府警は書類送検三日前の三月十九日まで、相当処分の意見にすべきではないか、と迷いに迷ったと伝えられる。

 本日の文化放送「福井謙二グッモニ」でも、この問題に触れました。
スポンサーサイト



«  | HOME |  »

プロフィール

森功

Author:森功
福岡県出身のノンフィクション作家。08年「ヤメ検」09年「同和と銀行」(ともに月刊現代)の両記事で2年連続「雑誌ジャーナリズム賞作品賞」。18年「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)が大宅壮一ノンフィクション賞受賞。
主な著作は「サラリーマン政商」(講談社)、「黒い看護婦」「ヤメ検」(ともに新潮文庫)、「許永中」「同和と銀行」(講談+α文庫)、「血税空港」「腐った翼」(幻冬舎)、「泥のカネ」(文藝春秋社)、「狡猾の人――防衛省を食い物にした小物高級官僚の大罪」(幻冬舎)、「なぜ院長は『逃亡犯』にされたのか――見捨てられた原発直下『双葉病院』恐怖の7日間」、「大阪府警暴力団刑事『祝井十吾』の事件簿」(講談社)、「平成経済事件の怪物たち」(文春新書)、「紛争解決人 世界の果てでテロリストと闘う」(幻冬舎)、「現代日本9の暗闇」(廣済堂出版)、「日本を壊す政商 パソナ南部靖之の政・官・芸能人脈」(文藝春秋)、「総理の影 菅義偉の正体」(小学館)、「日本の暗黒事件」(新潮新書)「高倉健 七つの顔を隠し続けた男」(講談社)、「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)、「地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団」(講談社)など。最新刊は「官邸官僚 安倍一強を支えた側近政治の罪」(文藝春秋)

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する