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2014-10

工藤会頂上作戦の深層

 今月号の中央公論「森功の社会事件簿」は工藤会捜査について書きました。

 全国ただ一つの特定指定暴力団だけあって警察当局も力が入っている――。北九州市の指定暴力団「工藤会」に対する警察庁の捜査姿勢について、そう評価する向きは少なくあるまい。2トップの逮捕にいたった今回の漁協組合長の殺人事件では、地元の福岡県警が「工藤会関連事件特別捜査本部」を設置。県警職員の三割以上に当たる三八〇〇人の捜査員を投入している。おまけに警視庁をはじめ、山口県や長崎県、千葉県、さらには北海道にいたるまで、実に六都道の警察本部から精鋭が集結、異例の事件捜査に当たっている。
北九州の暴力団にこれほどまで全国的な捜査網を敷いた理由について、警察庁は表向き、それら六都道県で工藤会の活動実態が判明したからだという。たとえば千葉県松戸市などでも、工藤会の武器庫が発見された。
その規模は九州最大。ただし、暴力団の〝縄張り〟である経済活動は、福岡県や山口県に限定されている。典型的な地元の組織である。福岡県警によると、二〇一三年末時点の構成員はおよそ五六〇人。日本全国二一の指定暴力団のなかで見ると、その規模は七番目にあたるが、構成員一万三〇〇〇、準構成員一万二〇〇〇を擁し、日本最大である山口組に比べると、組員の人数はかなり少ない。その工藤会が、一二年一二月に福岡と山口の県公安委員会から日本で初めて特定危険指定暴力団と認定されたのは、その凶暴性ゆえというほかない。
今回、総裁の野村悟や会長の田上文雄の逮捕容疑となった漁協組合長の射殺は、九八年二月の事件だ。被害者は港湾事業の介入を断った北九州市若松区脇之浦漁協の元組合長、梶原国弘で、野村や田上は一六年経ってようやく逮捕された。さらに工藤会は、建設業者の襲撃やナイトクラブへの手榴弾投げ込み、さらには元福岡県警刑事の銃撃などでも、その関与が取りざたされた。一方、斯界では、反山口組組織としても名を馳せてきた。
「山口組は三代目田岡一雄組長時代の六〇年代半ば以降、全国制覇を目論んで勢力を拡大し、関東や北陸、北海道にいたる地元の組を傘下に収めてきたが、九州は難攻不落。迎え撃ったのが当時の工藤組(現工藤会)で、以来、福岡県内の道仁会や太州会とともに三派連合を結成して山口組に対抗してきた。今はそこに熊本会を加え、四社会と呼ばれる反山口組連合になっている。そのせいで山口組は実際、福岡県内でさえない」(警視庁OB)
 いわば工藤会は、山口組でさえ一目置いて身構えてきた暴力団といえる。だが、そうはいっても、その活動はもっぱら北九州中心に限定されている。なぜ、そこに六都道県という全国の警察本部の精鋭が投入されているのか。(以下略)

 警察はかなり本気のようですが、地縁血縁の濃い組織だけに苦労するかも。
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プロフィール

森功

Author:森功
福岡県出身のノンフィクション作家。08年「ヤメ検」09年「同和と銀行」(ともに月刊現代)の両記事で2年連続「雑誌ジャーナリズム賞作品賞」。18年「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)が大宅壮一ノンフィクション賞受賞。
主な著作は「サラリーマン政商」(講談社)、「黒い看護婦」「ヤメ検」(ともに新潮文庫)、「許永中」「同和と銀行」(講談+α文庫)、「血税空港」「腐った翼」(幻冬舎)、「泥のカネ」(文藝春秋社)、「狡猾の人――防衛省を食い物にした小物高級官僚の大罪」(幻冬舎)、「なぜ院長は『逃亡犯』にされたのか――見捨てられた原発直下『双葉病院』恐怖の7日間」、「大阪府警暴力団刑事『祝井十吾』の事件簿」(講談社)、「平成経済事件の怪物たち」(文春新書)、「紛争解決人 世界の果てでテロリストと闘う」(幻冬舎)、「現代日本9の暗闇」(廣済堂出版)、「日本を壊す政商 パソナ南部靖之の政・官・芸能人脈」(文藝春秋)、「総理の影 菅義偉の正体」(小学館)、「日本の暗黒事件」(新潮新書)「高倉健 七つの顔を隠し続けた男」(講談社)、「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)、「地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団」(講談社)など。最新刊は「官邸官僚 安倍一強を支えた側近政治の罪」(文藝春秋)

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