西城秀樹③「結婚」
「上條さぁーん」
甲高い女性の声がしたかと思うと、いきなり後ろから抱きつかれ、びっくり仰天したという。場所は新高輪プリンスホテルの宴会場「飛天」前のロビーである。驚いて後ろを振り向いたのが、上條英男である。十六歳の西城秀樹を歌手デビューさせた音楽プロデューサーだ。当の上條が振り返った。
「いきなり女の人からハグされたから、誰だろうと思ってね。見ると秀樹のお姉さんでした。『上條さん、あの子がここまで来られたのはあなたのおかげよ、ありがとう』って涙をためてね。お姉さんと話したのは、秀樹が広島から上京して間もなくと、クラブ西城のオープンで電話をもらったときくらい。会って話したのは一度だけから余計に驚いたんだ」
その女性が秀樹の九歳上の実姉、宅見恵美子なのは繰り返すまでもない。
西城秀樹は旧姓槇原美紀と二〇〇一年六月三十日に伊豆・下田の白浜神社で挙式を済ませ、一週間後の七月七日、新高輪プリンスホテルで盛大な披露目をした。〇七年にグランドプリンスホテル新高輪と改称されたが、大宴会場「飛天」は昔のままだ。恒例のフジテレビ「FNS歌謡祭」をはじめ、華やかなイベンド会場であり続け、数々の有名タレントがここで結婚披露パーティをおこなってきた。(以下略)
ちなみに前号のレコード大賞選考の部分に誤りがありましたので、お詫びして訂正しました。