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2019-01

起訴後の勾留「人質司法」批判の的外れ

 日産自動車のカルロス・ゴーン前会長の保釈却下が物議を呼んでいます。批判の大方は「自白を強要するための人質司法」。海外メディアやゴーン夫人の言葉を借りてそう言っています。批判の中には、「保釈後は行動が制限され関係者との接触を禁じられるので、サウジの知人と口裏合わせなどはできない」、あるいは「もしそんなことをすれば保釈がとりけされるのでやらない」という意見も目立ちます。しかし、容疑者は罪を免れるためあの手この手を使うので、警察や検察がそれを防ぐのもかなり難しい。これまでの特捜事件だと、公判維持できるだけの証拠を押さえたうえで逮捕、起訴しているので、仮に保釈をして罪証隠滅に走っても捜査上に影響はないようにも見えますが、実際はそうではないでしょう。
 日本の司法は遅れているという批判もあります。が、たとえば司法取引という当局の武器は欧米からの輸入。昔から事実上の司法取り機はありましたが、裁判所や検察は海外のあり様を研究しながら、日本の刑法に沿って少しずつ変わっているように見えます。人質司法という古典的で単純な批判はピントがずれているように感じます。検察側は自白を求めて長期勾留しているわけではなく、やはり捜査上の支障を懸念しているのでしょう。
 あの積水ハウス事件の首謀者である内田マイクは、浜田山の駐車場事件で起訴され、保釈中に地面師仲間と手を取り合ってこの事件を引き起こしています。保釈されなければ積水事件はなかったかも。
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プロフィール

森功

Author:森功
福岡県出身のノンフィクション作家。08年「ヤメ検」09年「同和と銀行」(ともに月刊現代)の両記事で2年連続「雑誌ジャーナリズム賞作品賞」。18年「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)が大宅壮一ノンフィクション賞受賞。
主な著作は「サラリーマン政商」(講談社)、「黒い看護婦」「ヤメ検」(ともに新潮文庫)、「許永中」「同和と銀行」(講談+α文庫)、「血税空港」「腐った翼」(幻冬舎)、「泥のカネ」(文藝春秋社)、「狡猾の人――防衛省を食い物にした小物高級官僚の大罪」(幻冬舎)、「なぜ院長は『逃亡犯』にされたのか――見捨てられた原発直下『双葉病院』恐怖の7日間」、「大阪府警暴力団刑事『祝井十吾』の事件簿」(講談社)、「平成経済事件の怪物たち」(文春新書)、「紛争解決人 世界の果てでテロリストと闘う」(幻冬舎)、「現代日本9の暗闇」(廣済堂出版)、「日本を壊す政商 パソナ南部靖之の政・官・芸能人脈」(文藝春秋)、「総理の影 菅義偉の正体」(小学館)、「日本の暗黒事件」(新潮新書)「高倉健 七つの顔を隠し続けた男」(講談社)、「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)、「地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団」(講談社)など。最新刊は「官邸官僚 安倍一強を支えた側近政治の罪」(文藝春秋)

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