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2019-04

87歳「暴走老人」と日産「ゴーン」逮捕・身柄拘束の意味

 池袋で暴走し2人の死者を出した87歳の元通産相キャリアに対しては逮捕すべきだというが、日産自動車のゴーン前会長については保釈すべきだという。マスコミの論調は、いかにもご都合主義ではないでしょうか。
 被疑者を逮捕・身柄拘束するのは、逃亡や証拠隠滅の恐れがあるからだ、とされます。たとえば87歳の暴走老人のケースでは、逮捕されてしかるべきでしょうが、警察はすでに証拠を固め、当人も病院にいるので逃げる恐れがなく逮捕の必要なしと判断したといいます。が、自殺する恐れもあります。自殺も罪から逃れる広義の逃亡といえ、そうなれば警察の失態。
 一方、日産のゴーン前会長について東京地裁は、妻をはじめとした事件関係者との接触を禁じたうえで保釈を認めました。だが、換言すると、裁判所は証拠隠滅の恐れありと自覚していながら、自由にしたという話。これをもって人質司法の在り方を見直したと評価する向きもあります。が、そもそも保釈理由が成立していないのではないでしょうか。
 日本人はとかくグローバルスタンダードという言葉に弱いけれど、事件を見るにつけ、問題をまぜこぜにしているだけのように感じます。日本独自の司法判断があってもいい、と常々思うのですが。
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プロフィール

森功

Author:森功
福岡県出身のノンフィクション作家。08年「ヤメ検」09年「同和と銀行」(ともに月刊現代)の両記事で2年連続「雑誌ジャーナリズム賞作品賞」。18年「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)が大宅壮一ノンフィクション賞受賞。
主な著作は「サラリーマン政商」(講談社)、「黒い看護婦」「ヤメ検」(ともに新潮文庫)、「許永中」「同和と銀行」(講談+α文庫)、「血税空港」「腐った翼」(幻冬舎)、「泥のカネ」(文藝春秋社)、「狡猾の人――防衛省を食い物にした小物高級官僚の大罪」(幻冬舎)、「なぜ院長は『逃亡犯』にされたのか――見捨てられた原発直下『双葉病院』恐怖の7日間」、「大阪府警暴力団刑事『祝井十吾』の事件簿」(講談社)、「平成経済事件の怪物たち」(文春新書)、「紛争解決人 世界の果てでテロリストと闘う」(幻冬舎)、「現代日本9の暗闇」(廣済堂出版)、「日本を壊す政商 パソナ南部靖之の政・官・芸能人脈」(文藝春秋)、「総理の影 菅義偉の正体」(小学館)、「日本の暗黒事件」(新潮新書)「高倉健 七つの顔を隠し続けた男」(講談社)、「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)、「地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団」(講談社)など。最新刊は「官邸官僚 安倍一強を支えた側近政治の罪」(文藝春秋)

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