2017-10

桜宮高校体罰「外部監察」報告の落とし穴

 本日発売の週刊現代ジャーナリストの目で桜宮高校バスケット部の体罰問題を取り上げました。今回は外部監察チームの報告について。以下冒頭です。

「暴力、自殺の一因」 桜宮高問題 外部監察で認定――。
 体罰問題で揺れる大阪市立桜宮高校に対する市の外部監察チームの報告書について、2月11日付の朝日新聞がこう報じた。
〈男子生徒が自殺した前日の昨年12月22日、バスケ部が桜宮高校体育館で他校との練習試合をした際、顧問が男子生徒の顔や頭を平手で数回たたいたと認定。(中略)これらの行為が「自殺の要因の一つとして考えられる」と指摘した〉

  桜宮高校の事件を境に、女子柔道をはじめ各スポーツ分野で体罰問題が取り沙汰されるようになった。「指導か」、「体罰か」、あるいは「暴力か」、といった言葉がマスメディアに躍っている。だが、そもそも指導、体罰、暴力について、普遍的な線引きや定義が存在するのだろうか。
 桜宮高校問題でいえば、その判定の大きな根拠となっているのが、生徒に対するアンケート調査である。過去に体罰や暴力・暴言を「受けた」「受けたのを見た」「どちらもない」といった質問をして回答を得るというものだ。が、まず回答する生徒が明確な体罰の定義に基づいて回答しているとは思えない。
 桜宮高校の場合、全生徒840人の8%にあたる70人が体罰を受けたと答え、14部の体育系クラブのうち11部で同様の回答があったとされる。それを多いと見るかどうかは判断の分かれるところだろう。半面、「受けた」と回答したアンケートの自由回答欄には、「たたかれたのは自分たちを成長させるため」「先生は悪くない」という声が大半だったという。

 外部監察チームの調査をもとに大阪市教育委員会はバスケ部顧問教諭の懲戒免職を決めました。処分自体は仕方ないでしょう。ただ、これで体罰とされる実態が本当に明らかになっているわけではなく、むしろ調査そのものがかなり一方的な内容になっている気がします。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://mori13.blog117.fc2.com/tb.php/1287-6e435dda
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | HOME |  »

プロフィール

森功

Author:森功
福岡県出身のノンフィクションライター。08年「ヤメ検」09年「同和と銀行」(ともに月刊現代)の両記事で2年連続「雑誌ジャーナリズム賞作品賞」受賞。主な著作は「サラリーマン政商」(講談社)、「黒い看護婦」「ヤメ検」(ともに新潮文庫)、「許永中」「同和と銀行」(講談+α文庫)、「血税空港」「腐った翼」(幻冬舎)、「泥のカネ」(文藝春秋社)、「狡猾の人――防衛省を食い物にした小物高級官僚の大罪」(幻冬舎)、「なぜ院長は『逃亡犯』にされたのか――見捨てられた原発直下『双葉病院』恐怖の7日間」、「大阪府警暴力団刑事『祝井十吾』の事件簿」(講談社)、「平成経済事件の怪物たち」(文春新書)、「紛争解決人 世界の果てでテロリストと闘う」(幻冬舎)、「現代日本9の暗闇」(廣済堂出版)、「日本を壊す政商 パソナ南部靖之の政・官・芸能人脈」(文藝春秋)、「総理の影 菅義偉の正体」(小学館)など。最新刊は「日本の暗黒事件」(新潮新書)

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する