2017-10

中央公論「収拾がつかない後手後手の汚染水問題」

 今月号の中央公論「森功の社会事件簿」は東電福島第一原発の汚染水問題を改めて振り返ってみました。

 地下にしみ込んだ放射性汚染水の海への流出に続き、貯水タンクからの大量漏れ……。後手に回る東京電力福島第一原発の汚染水問題は、いまや収拾がつかなくなりつつある。事故以来、次から次へと飛び出すその不祥事は、一般常識では計り知れない東電の無責任体質を露呈した。なぜこうなってしまったのか、と首をひねり、理解に苦しむのは筆者だけではないだろう。
 そんな素朴な疑問をひも解くため、事故現場を取材するため、七月から何度か福島入りした。今月は、その取材結果を報告したい。
 あまりの失態続きで、遠い過去の出来事のように感じるかもしれないが、福島第一原発の放射性汚染水問題が最初にクローズアップされたのは、五か月前の今年四月のことである。現在焦点になっている海への地下水の流出や貯水タンクからの水漏れではなく、このときはビニールシートでつくった三号機の地下貯水槽の漏水だった。そこで例によって東電サイドの発表が日を追うごとにころころ変わる。四月六日に漏水の総量を一二〇トンと公表したかと思えば、そのすぐ後、別の水槽の水漏れが判明し、漏水総量も一六七トンと訂正する。
 慌てた東電は、汚染水を三号貯水槽から六号貯水槽に移送しようとした。すると、今度はポンプと配管の接続部から水が漏れだす始末だ。実に一立方センチ当たり二九万ベクレルの高濃度放射性汚染水二二リットルが、配管から滴り落ち、壌にしみ込んだ。
 その原因について東電は、金属製のポンプと配管を接続しているゴム製パッキンに小さなごみが付着して密着性を損ない、水が漏れたと説明した。だが、配管の水漏れはそれまでにも他の継ぎ目で何度も発見されてきた。それだけに、額面通り受け取れない。
 そんな事故現場に近いいわき市で、事故前まで福島第一原発のメンテナンスに従事してきた双葉町の建設業者と出会った。相次ぐ事後原因について、尋ねると、こう解説してくれた。
「原発関連の配管は特殊なので、設置するのは技術が必要なのです。しかし、事故後、急きょ集められて現場で働いている作業員には、現場経験も技術もない。原発のパイプはフランジという接続方法を用いていて、四点のボルトを同じ力で一挙に締めなければならないのに、三回も四回も締め直してしまうから、却って緩んでしまっていると聞いています」
 東電は事故後、大手ゼネコンに頼んで全国から原発作業員を集めた。水漏れは作業員の経験不足に起因する面が大きいという。なら、経験豊富な技術者を雇えばよさそうなものだ。が、それもなかなか難しいという。

 目下問題になっているタンクもパイプと同じフランジ型。漏れ出す危険は想定できたはずです。
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森功

Author:森功
福岡県出身のノンフィクションライター。08年「ヤメ検」09年「同和と銀行」(ともに月刊現代)の両記事で2年連続「雑誌ジャーナリズム賞作品賞」受賞。主な著作は「サラリーマン政商」(講談社)、「黒い看護婦」「ヤメ検」(ともに新潮文庫)、「許永中」「同和と銀行」(講談+α文庫)、「血税空港」「腐った翼」(幻冬舎)、「泥のカネ」(文藝春秋社)、「狡猾の人――防衛省を食い物にした小物高級官僚の大罪」(幻冬舎)、「なぜ院長は『逃亡犯』にされたのか――見捨てられた原発直下『双葉病院』恐怖の7日間」、「大阪府警暴力団刑事『祝井十吾』の事件簿」(講談社)、「平成経済事件の怪物たち」(文春新書)、「紛争解決人 世界の果てでテロリストと闘う」(幻冬舎)、「現代日本9の暗闇」(廣済堂出版)、「日本を壊す政商 パソナ南部靖之の政・官・芸能人脈」(文藝春秋)、「総理の影 菅義偉の正体」(小学館)など。最新刊は「日本の暗黒事件」(新潮新書)

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