2017-08

国会喚問「みずほ反社取引」の前に

 あす13日、みずほ銀行の反社取引問題で、佐藤頭取ほか関係者が国会喚問されます。その前に、というわけではありませんが、今月号の「中央公論・森功の社会事件簿」でざっと経緯を振り返っています。

 合併行の派閥争いや処理の先送り、事実説明の変遷、不祥事の隠ぺい体質……。みずほ銀行による反社会的勢力への融資については、さまざま非難や指摘がなされた。どれも的を射ている。メガバンクみずほは、これほど多くの欠陥を露呈してしまった。お粗末な組織だという裏返しでもある。
 これは、みずほが他の企業にない特有のハンデキャップを負ってきたから起きた不始末ではない。たとえば合併行の派閥争いという指摘をしばしば見かける。が、メガバンクはどこもそうであり、チェック機能が働くので不祥事が発覚しやすいメリットもある。
 そこで問題を整理する。ことの核心は、暴力団との取引という重大事において、経営陣が正面から対処しようとせず、今もその重大性の認識が欠如しているという点にほかならない。
「実は私も昨年、山口組関係者に名義貸しを頼まれ、オリコ(オリエントコーポレーション)でローンを組んでベンツを購入したのですが、気づくと、車は自動車金融に売られ、当人は行方不明。みずほ銀行に十数万円のローンを払い続けています。けど、だんだん馬鹿らしくってきた」
 問題発覚間もなく、ある東京都内の不動産業者からそう連絡があった。今度の230件には、カウントされていないはずだというが、いわば問題融資の典型例といえるかもしれない。
 くだんの取引は、もっぱら自動車購入資金を貸し付ける提携ローンだ。系列の信販会社オリコが顧客の審査をし、みずほ銀行が融資契約を結ぶ。融資の焦げ付きの備え、融資保証をオリコがしている。二三〇件、総額約二億円の取引を反社会勢力と繰り返してきた。二〇一〇年七月、銀行の取締役会で問題が浮かび、融資先に対しておこなってきた正式な「属性確認」により、十二月にことが判明した。
 金融庁による業務改善命令が発令されたみずほは、自動車や家電の提携ローン取引がひと月に何万件もあるので、オリコが反社会的勢力を見逃していたことに気づかず、事後的に確認したが、融資契約を解除するまでの対策を講じなかった、と説明。放置した責任は感じるものの、窓口が見落としていたのだから一義的にはオリコの問題だ、といわんばかりの弁明をしてきた。むろんそんな詭弁が通用するはずもない。

 第三者委員会の大甘調査に騙されないよう、しっかり質問してほしいもんです。
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コメント

この手の喚問で、真実が明らかになったためしがない。
何年か前の、耐震偽装を思い出す。
この国は、ほんと偽装が好きな国だ。そして懲りない。

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森功

Author:森功
福岡県出身のノンフィクションライター。08年「ヤメ検」09年「同和と銀行」(ともに月刊現代)の両記事で2年連続「雑誌ジャーナリズム賞作品賞」受賞。主な著作は「サラリーマン政商」(講談社)、「黒い看護婦」「ヤメ検」(ともに新潮文庫)、「許永中」「同和と銀行」(講談+α文庫)、「血税空港」「腐った翼」(幻冬舎)、「泥のカネ」(文藝春秋社)、「狡猾の人――防衛省を食い物にした小物高級官僚の大罪」(幻冬舎)、「なぜ院長は『逃亡犯』にされたのか――見捨てられた原発直下『双葉病院』恐怖の7日間」、「大阪府警暴力団刑事『祝井十吾』の事件簿」(講談社)、「平成経済事件の怪物たち」(文春新書)、「紛争解決人 世界の果てでテロリストと闘う」(幻冬舎)、「現代日本9の暗闇」(廣済堂出版)、「日本を壊す政商 パソナ南部靖之の政・官・芸能人脈」(文藝春秋)、「総理の影 菅義偉の正体」(小学館)など。最新刊は「日本の暗黒事件」(新潮新書)

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