2017-08

社員に原発賠償返還請求「東電」の現場感覚

 東京電力の社員に対する原発賠償返還請求が毎日新聞のスクープで判明しました。払ってきた賠償金を返せといういかにも東電らしい高飛車な対応。そんな無理難題がまかり通るはずもありませんが、その裏には、今まで社員として原発で雇ってあげてきたんだから賠償しなくてもいいだろう、という傲慢さを感じてしまいます。
 フクイチで働いてきた東電の社員たちも組織の一員であり、まったく責任がないとは言いません。が、それは原発周辺で事業をしてきた人たちと似たようなものでしょう。フクイチのある双葉郡の住民のほとんどが何らかの形で原発の恩恵に与って来たともいえます。
 発覚した東電の返還請求は、だから賠償の対象から外れるという発想。さらに返還請求をされたくなければ会社に残れという脅しともとれます。地元社員たちの多くは地元で肩身の狭い思いをしながら、原発の事故処理に追われています。そんな苦労などに思いがいたらないから、こんな出鱈目な発想になるというほかありません。
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森功

Author:森功
福岡県出身のノンフィクションライター。08年「ヤメ検」09年「同和と銀行」(ともに月刊現代)の両記事で2年連続「雑誌ジャーナリズム賞作品賞」受賞。主な著作は「サラリーマン政商」(講談社)、「黒い看護婦」「ヤメ検」(ともに新潮文庫)、「許永中」「同和と銀行」(講談+α文庫)、「血税空港」「腐った翼」(幻冬舎)、「泥のカネ」(文藝春秋社)、「狡猾の人――防衛省を食い物にした小物高級官僚の大罪」(幻冬舎)、「なぜ院長は『逃亡犯』にされたのか――見捨てられた原発直下『双葉病院』恐怖の7日間」、「大阪府警暴力団刑事『祝井十吾』の事件簿」(講談社)、「平成経済事件の怪物たち」(文春新書)、「紛争解決人 世界の果てでテロリストと闘う」(幻冬舎)、「現代日本9の暗闇」(廣済堂出版)、「日本を壊す政商 パソナ南部靖之の政・官・芸能人脈」(文藝春秋)、「総理の影 菅義偉の正体」(小学館)など。最新刊は「日本の暗黒事件」(新潮新書)

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