2017-10

PC遠隔操作事件の重大課題

 今月号の中央公論「森功の社会事件簿」はとんだ顛末となったパソコン遠隔操作事件について書きました。

「真犯人から送られたメールを見たときも不審な点はなかった。彼が無実であることは間違いない」から「(すべての事件で)自分が犯人ですと認めました」へ――。パソコンの遠隔操作事件における片山祐輔被告(三二)の弁護人のコメントが一夜にしてひっくり返ったのは、五月二〇日のことだ。片山に対し、怪しいと疑ってきた人は「それ見たことか」と溜飲を下げ、冤罪を信じた弁護団や支援者は「赤っ恥をかかされた」とさぞかし立腹しているに違いない。主任弁護人などは「(平気で嘘をつく)サイコパス」呼ばわりする始末である。
 大騒動になったPC遠隔操作事件は、間抜けな真犯人のせいで笑い話のような結末を迎えた。だが、その反面、事件が社会に投げかけた課題は、数多く、しかも重大だ。(中略)
 警察捜査をあざ笑うかのようなサイバー犯罪に対策が追い付かず、やられっ放しの捜査技術の遅れには、ある意味愕然とさせられる。が、それより課題は、その片山人にまんまと乗せられ、冤罪を招いた捜査当局の大失態だ。(中略)
 そこから一転、冤罪が発覚し、片山を逮捕できたのは、犯罪者特有の奢りと幼さが幸いしたからに過ぎない。周知の通り、片山はマスメディアや弁護士に真犯人を名乗り、犯人しか知りえない〝秘密の暴露〟入りの犯行声明メールを次々と送り付けた。その中に「江の島の猫にピンクの首輪をつけた」というクダリがあり、そのメールの直前、防犯カメラに片山本人の姿が映っていた。それが決め手となって一三年二月、威力業務妨害容疑で逮捕される。
 だが、片山はそれでも容疑を否認し続けた。問題はそこから先の社会の受け止め方だ。警察は家宅捜索で状況証拠を固めた。しかし、過去の体たらくから、これも捜査当局のでっち上げではないか、という片山冤罪にすり替わり、その声が次第に大きくなっていく。
「片山氏自身が遠隔操作され、猫の首輪をつけさせられた」とまことしやかに囁かれた末、保釈を認めないのは人権蹂躙だと検察攻撃が繰り返された。

 反省すべき点は多々あります。
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コメント

3月13日この日、保釈後の片山裁判があり傍聴抽選になるほどの盛況ぶり。わたくし同日高等裁判所結審にて同じ階にいて、帰宅後、片山裁判があったことを知り残念。佐藤弁護士の弁舌をこの目でみたかった。片山被告に遠隔操作されていたのは、他でもない佐藤弁護士であったとは、まこと世の中なにがおきるかわかりません。

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森功

Author:森功
福岡県出身のノンフィクションライター。08年「ヤメ検」09年「同和と銀行」(ともに月刊現代)の両記事で2年連続「雑誌ジャーナリズム賞作品賞」受賞。主な著作は「サラリーマン政商」(講談社)、「黒い看護婦」「ヤメ検」(ともに新潮文庫)、「許永中」「同和と銀行」(講談+α文庫)、「血税空港」「腐った翼」(幻冬舎)、「泥のカネ」(文藝春秋社)、「狡猾の人――防衛省を食い物にした小物高級官僚の大罪」(幻冬舎)、「なぜ院長は『逃亡犯』にされたのか――見捨てられた原発直下『双葉病院』恐怖の7日間」、「大阪府警暴力団刑事『祝井十吾』の事件簿」(講談社)、「平成経済事件の怪物たち」(文春新書)、「紛争解決人 世界の果てでテロリストと闘う」(幻冬舎)、「現代日本9の暗闇」(廣済堂出版)、「日本を壊す政商 パソナ南部靖之の政・官・芸能人脈」(文藝春秋)、「総理の影 菅義偉の正体」(小学館)など。最新刊は「日本の暗黒事件」(新潮新書)

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