2017-10

新政官業研究「米ペースに乗せられた日本の農業」

 日刊ゲンダイで連載中の新政官業研究「TPP農水族」編の4回目は、条件闘争に陥ったTPP交渉の流れを振り返りました。

「3月17日にオーストラリアに行き、アボット首相とログ交易大臣に会って4月7日に日豪で大筋合意し、4月21日までに農水産物すべての交渉の詰めを終えました」
 先に合意した豪州との経済連携協定(EPA)について、自民党の西川公也にインタビューすると、そう胸を張った。安倍政権にとって農水族の西川は、TPP交渉に反発する党内議員や対農協戦略の盾になる切り札だ。
「牛肉の関税でいえば、これまで38・5%だった税率を冷凍物で18年かけて19・5%、冷蔵物は15年かけて23・5%に下げると合意しました」
と西川。日豪の合意を日米の交渉の取引材料にしようとしたわけである。
 その後、オバマが来日し、日米のTPP交渉で担当大臣の甘利明と米通商代表のフロマンがやり合ったのはご承知の通りだ。懸案は牛肉と豚肉の関税率。日米交渉の成果については、新聞が「合意にいたらず」と「実質合意」と真っ二つに割れたので分かりづらかったが、よくよく考えると、まさに日米のシナリオ通りにことが運んでいる。
 TPPの交渉参加にあたり、日本側が「段階的な関税の撤廃も認めない」と国会決議したのも、今は昔。いまや米国に譲歩し、すっかり条件闘争に入っているが、それもそのはずだ。農水族議員たちは表向き、交渉反対のファイティングポーズをとっている。が、その実、TPP推進のレールに乗って動いてきた。
「象徴的だったのが、日豪で大筋合意したあとの動きです。安倍首相に直談判に及んだのですが、その内容が日豪の合意を死守してほしいというもの。豪州と合意では牛肉の輸入関税の20%を割り込んで半分に下げるという。段階的な……と国会決議していながら、それを認めてしまっているのです」(農協の関係者)以下略
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森功

Author:森功
福岡県出身のノンフィクションライター。08年「ヤメ検」09年「同和と銀行」(ともに月刊現代)の両記事で2年連続「雑誌ジャーナリズム賞作品賞」受賞。主な著作は「サラリーマン政商」(講談社)、「黒い看護婦」「ヤメ検」(ともに新潮文庫)、「許永中」「同和と銀行」(講談+α文庫)、「血税空港」「腐った翼」(幻冬舎)、「泥のカネ」(文藝春秋社)、「狡猾の人――防衛省を食い物にした小物高級官僚の大罪」(幻冬舎)、「なぜ院長は『逃亡犯』にされたのか――見捨てられた原発直下『双葉病院』恐怖の7日間」、「大阪府警暴力団刑事『祝井十吾』の事件簿」(講談社)、「平成経済事件の怪物たち」(文春新書)、「紛争解決人 世界の果てでテロリストと闘う」(幻冬舎)、「現代日本9の暗闇」(廣済堂出版)、「日本を壊す政商 パソナ南部靖之の政・官・芸能人脈」(文藝春秋)、「総理の影 菅義偉の正体」(小学館)など。最新刊は「日本の暗黒事件」(新潮新書)

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