2017-08

新政官業研究「農水族議員の系譜」

 日刊ゲンダイの新政官業研究「TPP・農水族編」の最終回8回目――。

戦後間もない第一次吉田茂内閣で首相が農林大臣を兼務したほど、かつての農水族議員は政界の中心に位置していた。その農水族は、他の族議員と同じく1回生時代に農林部会に入ることから政策を学んだ。2回生で関係小委員会の委員長、3回生で部会長か副部会長に就任し、そこから農水政務次官(現副大臣)、農水大臣というのが、お決まりの農水エリート族のコースである。元農水エリート官僚の話。
「農林(農水)族でいえば、古くは吉田茂や田中角栄、そのあとが中川一郎、WTO(世界貿易機構)の交渉が始まってからは渡辺美智雄、山中貞則、江藤隆美、加藤紘一、保利耕輔などが台頭した。農林族は名前を挙げればきりがないほどいました。理論派で調整力のある先生がいれば、その後に現れた松岡利勝や鈴木宗男といった政策のゴリ押しタイプ、いろいろでした」
 盤石な基盤を誇った自民党農水族議員。1980年半から始まったガットウルグアイラウンドが、彼らにとっての一つの転機といえる。そこから浮き沈みが激しくなる。
「米国から牛肉、オレンジの自由化を迫られ、農協が猛反発しました。そのとき山中貞則や堀内光男、江藤隆美、玉澤徳三郎といった農水族議員たちが、自由化を阻止しようとしました。ところが、米国の圧力に抗しきれず、牛肉やオレンジの輸入が解禁された。で、農水族議員たちは農協の怒りを買い、選挙で落選してしまいました」(前出・元農水官僚)
 自由化にあたり、むろん農水族議員たちが農家対策をしなかったわけではない。前号で紹介した6兆円の〝農業補助金〟がそれだ。牛肉でいえば、91年に畜産農家向けに5500億円、オレンジ農家にも1300億円の対策予算を組んだ。
(以下略)

 次は国土強靭化編へ。
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森功

Author:森功
福岡県出身のノンフィクションライター。08年「ヤメ検」09年「同和と銀行」(ともに月刊現代)の両記事で2年連続「雑誌ジャーナリズム賞作品賞」受賞。主な著作は「サラリーマン政商」(講談社)、「黒い看護婦」「ヤメ検」(ともに新潮文庫)、「許永中」「同和と銀行」(講談+α文庫)、「血税空港」「腐った翼」(幻冬舎)、「泥のカネ」(文藝春秋社)、「狡猾の人――防衛省を食い物にした小物高級官僚の大罪」(幻冬舎)、「なぜ院長は『逃亡犯』にされたのか――見捨てられた原発直下『双葉病院』恐怖の7日間」、「大阪府警暴力団刑事『祝井十吾』の事件簿」(講談社)、「平成経済事件の怪物たち」(文春新書)、「紛争解決人 世界の果てでテロリストと闘う」(幻冬舎)、「現代日本9の暗闇」(廣済堂出版)、「日本を壊す政商 パソナ南部靖之の政・官・芸能人脈」(文藝春秋)、「総理の影 菅義偉の正体」(小学館)など。最新刊は「日本の暗黒事件」(新潮新書)

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