2017-10

朝日だけじゃないメディアの誤報訂正

 朝日新聞批判を繰り返すマスメディア。しかし他人事ではありません。そこで今週号の週刊現代「ジャーナリストの目」で、東電福島原発を巡る双葉病院報道について書きました。

 自らの過ちを棚に上げるのがマスメディアの常とはいえ、このところの朝日新聞報道を見るにつけ、やはり釈然としない違和感を覚える。
朝日新聞の木村伊量社長が9月11日、ついに謝罪、引責会見に追い込まれた。言うまでもなく元凶は、従軍慰安婦の強制連行をでっち上げた虚偽証言の訂正と東電福島第一原発元所長の調書曲解というダブル吉田問題であり、そこへ慰安婦問題に関するジャーナリストの池上彰の連載拒否というオマケまでついた。朝日がやらかした一連の失態には濃淡あるが、ことここにいたるまでの体たらくについては、繰り返すまでもないだろう。
ここぞとばかりに「誤報だ」「謝罪がない」「社長が逃げている」とライバル紙やテレビ、週刊誌から集中砲火が浴びせられ、白旗をあげざるを得なかった。もっとも、私が釈然としないのは、朝日の対処のまずさではない。むしろ朝日バッシングに血道をあげるマスメディアのほうである。
 折しも、朝日の社長会見のあった翌12日、福島第一原発の事故後に死亡した双葉病院の患者遺族と東電とが争っていた損害賠償請求訴訟で和解が成立した。原発から4・5キロという至近距離にあった双葉病院グループでは、患者や施設の入居者の多くが取り残された挙句、50人が死亡するという惨事が発生した。原発事故による死者はいない、と東電は言い張ってきたが、50人は事故がなければ死なずに済んだ。いわば原発事故の犠牲者である。
 この日の和解は、訴えていた遺族2人に対し、東電が1360万円の賠償金を支払うというもので、東京地裁は「被害の悲惨さを考えれば、東電の責任はより重く考えるべきだ」と断罪した。
この双葉病院問題には、もう一つの側面がある。事故当時、「病院が患者を置き去りにして逃げた」かのように福島県が発表し、新聞やテレビが挙って病院関係者を「患者を見殺しにした逃亡犯」扱いした一件だ。
震災から1週間後の2011年3月18日付の新聞各紙には、次のような見出しが並んだ。
〈福島・双葉病院 患者だけ取り残される〉(読売)
〈患者搬送に付き添わず 20キロ圏内病院関係者〉(朝日)
〈高齢者病院放置か 被災地で14人死亡〉(産経)

 これぞ誤報。しかしまともな訂正、謝罪はありませんでした。
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森功

Author:森功
福岡県出身のノンフィクションライター。08年「ヤメ検」09年「同和と銀行」(ともに月刊現代)の両記事で2年連続「雑誌ジャーナリズム賞作品賞」受賞。主な著作は「サラリーマン政商」(講談社)、「黒い看護婦」「ヤメ検」(ともに新潮文庫)、「許永中」「同和と銀行」(講談+α文庫)、「血税空港」「腐った翼」(幻冬舎)、「泥のカネ」(文藝春秋社)、「狡猾の人――防衛省を食い物にした小物高級官僚の大罪」(幻冬舎)、「なぜ院長は『逃亡犯』にされたのか――見捨てられた原発直下『双葉病院』恐怖の7日間」、「大阪府警暴力団刑事『祝井十吾』の事件簿」(講談社)、「平成経済事件の怪物たち」(文春新書)、「紛争解決人 世界の果てでテロリストと闘う」(幻冬舎)、「現代日本9の暗闇」(廣済堂出版)、「日本を壊す政商 パソナ南部靖之の政・官・芸能人脈」(文藝春秋)、「総理の影 菅義偉の正体」(小学館)など。最新刊は「日本の暗黒事件」(新潮新書)

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