2017-10

「賊軍の昭和史」に見る戦争史観

 半藤一利さんと保阪正康さんの対談シリーズですが、いつもながら勉強になります。たとえば満州事変を引き起こした張本人とされる石原莞爾に触れたくだり。戦後、郷里の山形県酒田市に蟄居していた石原が近所の人のために講演を開いたそうです。その中で、新しい日本の戦後体制に触れ、「新憲法は良い」「これからは、これを道義の憲法として、道義の国家となって、アメリカに道義を説いてやろう」と語っていたらしい。世界最終戦争論をぶち上げてきたガリガリの石原にして、あの戦争の悲惨さを心底痛感し、考えを改めたんだと保阪さんは述べていますが、その通りかもしれません。
 ご承知にように、石原は最終的に東条英機と対立して左遷されますが、薩長率いる官軍が軍の実権を握り、ロシアや清国との戦争に勝って奢った挙句の対米戦争。満州に対しては日本が関与すべきではない、という独特のアジアの世界観を持っていたといいます。石原の戦争史観については統一された評価がありませんが、ある種の天才なのはそうでしょう。その最終的に行き着いた境地が軍備を捨てた闘いであり、だからこそ米国が押し付けてきた日本国憲法を評価しているのかもしれません。
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コメント

それ程才能豊かなら、もっと早くに気づけよ、と言いたいんだけど、、。

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森功

Author:森功
福岡県出身のノンフィクションライター。08年「ヤメ検」09年「同和と銀行」(ともに月刊現代)の両記事で2年連続「雑誌ジャーナリズム賞作品賞」受賞。主な著作は「サラリーマン政商」(講談社)、「黒い看護婦」「ヤメ検」(ともに新潮文庫)、「許永中」「同和と銀行」(講談+α文庫)、「血税空港」「腐った翼」(幻冬舎)、「泥のカネ」(文藝春秋社)、「狡猾の人――防衛省を食い物にした小物高級官僚の大罪」(幻冬舎)、「なぜ院長は『逃亡犯』にされたのか――見捨てられた原発直下『双葉病院』恐怖の7日間」、「大阪府警暴力団刑事『祝井十吾』の事件簿」(講談社)、「平成経済事件の怪物たち」(文春新書)、「紛争解決人 世界の果てでテロリストと闘う」(幻冬舎)、「現代日本9の暗闇」(廣済堂出版)、「日本を壊す政商 パソナ南部靖之の政・官・芸能人脈」(文藝春秋)、「総理の影 菅義偉の正体」(小学館)など。最新刊は「日本の暗黒事件」(新潮新書)

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