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2020-01

なりものヤフー・井上雅博伝㉘「助手席の女性」

 本日発売の週刊現代で連載中の「なりものヤフー・井上雅博伝」はカリフォルニアのクラッシックカーイベントに連れていっていた女性の話を書きました。

「彼は人前に出ることをすごく嫌がっていて、日本のレースには参加しませんでした。そこで僕は、『それなら、いっそのこと日本のゴルフ場を買っちゃえよ』と提案しました。ゴルフ場をつくり変えてレースをやろう、という計画まで立てていました」
クラッシックカーにおける井上雅博の指南役、秋本康彦はそんな話までした。世界の名車を買い漁った井上は、それに乗りたくてうずうずしていた。が、ヤフー・ジャパンの元社長が国内でレースに出場すると、どうしても話題になる。そこで自前のレース場をつくってしまおうと考えたそうだ。
東日本大震災に見舞われた二〇一〇年初め、東北を中心に国内のゴルフ場が経営に行き詰まり、次々と売りに出された。値崩れしたゴルフ場を手に入れてはどうか。そう提案したのが秋本である。
「彼は自動車部だから運転に自信があるわけです。で、とくにタイヤをスライドさせながら走るドリフト走行をやりたがっていました。ダートではやったことがあるらしいけど、コンクリートの路面でそれをやりたい、と」
 プライベートのレース場という現実離れした話をする割に、秋本の口調は穏やかだ。
「日本でも自前のレース場を持っている人が一人います。そうすれば日本国内でもナンバープレートを付けずに走れる。海外では個人でクラッシックカーのレース場を持っている人がけっこういます。たとえばカリフォルニアのワイナリーの中にレース場があって楽しんだり。まあ、車の世界にはそんな桁違いの人がいるのです」
 プライベートのレース場建設は実現しなかったが、その代わり井上は世界の富豪が集う名車の祭典に情熱を傾けるようになる。
(以下略)

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森功

Author:森功
福岡県出身のノンフィクション作家。08年「ヤメ検」09年「同和と銀行」(ともに月刊現代)の両記事で2年連続「雑誌ジャーナリズム賞作品賞」。18年「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)が大宅壮一ノンフィクション賞受賞。
主な著作は「サラリーマン政商」(講談社)、「黒い看護婦」「ヤメ検」(ともに新潮文庫)、「許永中」「同和と銀行」(講談+α文庫)、「血税空港」「腐った翼」(幻冬舎)、「泥のカネ」(文藝春秋社)、「狡猾の人――防衛省を食い物にした小物高級官僚の大罪」(幻冬舎)、「なぜ院長は『逃亡犯』にされたのか――見捨てられた原発直下『双葉病院』恐怖の7日間」、「大阪府警暴力団刑事『祝井十吾』の事件簿」(講談社)、「平成経済事件の怪物たち」(文春新書)、「紛争解決人 世界の果てでテロリストと闘う」(幻冬舎)、「現代日本9の暗闇」(廣済堂出版)、「日本を壊す政商 パソナ南部靖之の政・官・芸能人脈」(文藝春秋)、「総理の影 菅義偉の正体」(小学館)、「日本の暗黒事件」(新潮新書)「高倉健 七つの顔を隠し続けた男」(講談社)、「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)、「地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団」(講談社)など。最新刊は「官邸官僚 安倍一強を支えた側近政治の罪」(文藝春秋)

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