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2020-07

検察庁法改正の論点

 今さら嘆くことではないかもしれませんが、テレビコメンテータたちの理解があまりに浅いのでひと言。
10本の法案審議をひとくくりにした今度の国家公務員法ならびに検察庁法の改正では、定年延期と定年年齢の引き下上げという別の問題に分かれます。そもそも昨年10月に政府が打ち出した改正案の主眼は、社会通念に合わせて国家公務員の定年を60歳から65歳に引き上げようとしたものでした。検察官は63歳定年であり検察庁法に定められた例外扱いなので、このときはそこに入っていませんでした。一方、定年延長については、国家公務員のそれは従来から認められていますが、検察庁法により検察官にはその規定がなく、認められていません。つまり定年延長と定年年齢の引上げはまったくの別物です。
 政府与党はそれを今回いっしょくたにして、国公法の改正の中に検察庁法の改正を紛れ込ませようとしました。なぜ、10月の法改正では存在しなかった検察官の定年延長を認めるよう、検察庁法を改めようとするのか、と野党が問うと、与党自民党はこの間の検察官に関する勤務の変化だといいます。つまりその変化は黒川さんの定年延長の以外にありません。1月31日の閣議決定だと認めているようなものなのです。おまけに今度の改正案では、内閣の判断で定年延長できるとも謳っています。内閣の判断?が、その判断基準は存在せず、2年後の法の施行後までにつくるというのですから話になりません。
 この法改正について、検察の人事は慣習により内閣が関与しないことになっている、とおっしゃるコメンテータもいます。だが、これは慣習のひと言で片づけられる問題などではありません。検察庁法に基づいて政府がそう決めたものです。だからこそ安倍さんは1月31日の閣議決定で法解釈の変更をしたなどという詭弁を持ち出した。日付のない行政文書を使い、官僚の答弁が二転三転したのはそのためでした。そこを理解した上で議論しないと話になりません。
 まず閣議決定したあとに慌てて法解釈の変更を持ち出し、さらにそれを追認するために国公法に紛れ込ませて法改正をしようとしている。それが今の国会審議なのは明らかで、いわば法改正はあと付けのあと付けというほかありません。
 自民党議員もそれはわかっているはずなので、改正を思いとどまるよう進言する人がいてもよさそうなものですが。
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森功

Author:森功
福岡県出身のノンフィクション作家。08年「ヤメ検」09年「同和と銀行」(ともに月刊現代)の両記事で2年連続「雑誌ジャーナリズム賞作品賞」。18年「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)が大宅壮一ノンフィクション賞受賞。
主な著作は「サラリーマン政商」(講談社)、「黒い看護婦」「ヤメ検」(ともに新潮文庫)、「許永中」「同和と銀行」(講談+α文庫)、「血税空港」「腐った翼」(幻冬舎)、「泥のカネ」(文藝春秋社)、「狡猾の人――防衛省を食い物にした小物高級官僚の大罪」(幻冬舎)、「なぜ院長は『逃亡犯』にされたのか――見捨てられた原発直下『双葉病院』恐怖の7日間」、「大阪府警暴力団刑事『祝井十吾』の事件簿」(講談社)、「平成経済事件の怪物たち」(文春新書)、「紛争解決人 世界の果てでテロリストと闘う」(幻冬舎)、「現代日本9の暗闇」(廣済堂出版)、「日本を壊す政商 パソナ南部靖之の政・官・芸能人脈」(文藝春秋)、「総理の影 菅義偉の正体」(小学館)、「日本の暗黒事件」(新潮新書)「高倉健 七つの顔を隠し続けた男」(講談社)、「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)、「地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団」(講談社)、「官邸官僚 安倍一強を支えた側近政治の罪」(文藝春秋)など。最新刊は「ならずもの井上雅博伝 ヤフーを作った男」(講談社)。

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