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2020-02

元総務次官候補激白「ふるさと納税は間違っている」

 本日発売の週刊文春に寄稿しました。菅官房長官自慢のふるさと納税について反対して左遷された元総務官僚の回顧告白です。

 その日の内閣官房長官執務室は、いつにも増して淀んだ空気が流れていた。菅義偉の待つ部屋に、総務省自治税務局長の平嶋彰英が入る。平嶋のお供で入室した総務省市町村税課長の川窪俊広はもとより、同席した官房長官秘書官の矢野康治(現財務省主税局長)や内閣官房内閣審議官の黒田武一郎(現総務省事務次官)らも、二人の会話に口を挟むこともできず、ただ見守っていた。
 二〇一四年十二月五日のことだ。会議の議題はふるさと納税である。制度の生みの親を辞任する菅は、ふるさと納税を広める手段を総務省に命じていた。その一つが、寄付控除(寄付した分の税経が戻ってくる)上限の倍増である。
「寄付控除の拡充に合わせて、(返礼品の)制限を検討しています。ただ(制限について)法律を書くことについて、法制局からは難しいと反応をもらっています。そこを踏まえ、通知で自粛を要請しているところでございます」
 文字どおり苦虫を噛み潰したような不機嫌な菅に、平嶋が恐る恐る切り出した。すると菅が口を開いた。
「(制限は)通知だけでいいんじゃないの? 総務省が通知を出せば、みんな言うことを聞くだろう」
 平嶋は反論した。
「そうでないところもあります。根拠は何だ、と聞いてくるようなところも」(以下略)

 

なりものヤフー・井上雅博伝最終回「メディアの行く末」

 いよいよ30回目、週刊現代連載「なりものヤフー・井上雅博伝」の最終回です。

 天才とは、蝶を追いかけて山の頂まで昇ってしまう小さな子供のことである――。
 映画「エデンの東」の原作者でモントレー生まれのノーベル賞作家、ジョン・スタインベックの寸言である。当人はヤフーのジェリー・ヤンやデビッド・ファイロと同じスタンフォード大の英文科を中退している。
 井上雅博は、まさにスタインベックの表現したその〝天才〟に近い。パソコンやインターネットに魅せられ、日本のITビジネスの頂点に駆け上った。ヤフー・ジャパンの後継社長となった宮坂学が「インターネット業を興した産業家」と評し、現社長の川邊健太郎が「日本で最も成功したサラリーマン」と称えたように、ITビジネスの世界で大成功をおさめたのは疑いようがない。
(以下略)

 ご愛読ありがとうございました。

なりものヤフー・井上雅博伝㉙「モントレーの足跡」

 本日発売の週刊現代連載「なりものヤフー・井上雅博伝」はいよいよ米国取材レポート編。

 サンフランシスコ国際空港から車で二時間ほど北上すると、そのゲートがあった。アーチ状の門に、「BLACK HAWK」という文字が刻まれている。同じ名称は米陸軍の戦闘ヘリや競走馬にも使われているが、むろんまったくの別ものだ。
井上雅博は車好きにとって憧れのこのクラッシックカーディーラー、ブラックホークに毎年足を運んできた。ゲートを見る限り、そこは高級リゾート地の玄関口のように感じる。門番に誰何され、目的地を告げたあと、なだらかな坂道を登っていくと、実際両脇にゴルフ場や別荘が点在している。さらにブランド店が軒を連ねるショッピングセンターを通過し、頂上に目指すオフィスがあった。ドン・ウィリアムズとケイネス・ベアリーが創業したブラックホーク本社だ。そこはポリスボックスも併設されていた。(以下略)

 カリフォルニア・ミッレ・ミリアで不慮の事故死を遂げた井上さんの足跡をたどりました。

なりものヤフー・井上雅博伝㉘「助手席の女性」

 本日発売の週刊現代で連載中の「なりものヤフー・井上雅博伝」はカリフォルニアのクラッシックカーイベントに連れていっていた女性の話を書きました。

「彼は人前に出ることをすごく嫌がっていて、日本のレースには参加しませんでした。そこで僕は、『それなら、いっそのこと日本のゴルフ場を買っちゃえよ』と提案しました。ゴルフ場をつくり変えてレースをやろう、という計画まで立てていました」
クラッシックカーにおける井上雅博の指南役、秋本康彦はそんな話までした。世界の名車を買い漁った井上は、それに乗りたくてうずうずしていた。が、ヤフー・ジャパンの元社長が国内でレースに出場すると、どうしても話題になる。そこで自前のレース場をつくってしまおうと考えたそうだ。
東日本大震災に見舞われた二〇一〇年初め、東北を中心に国内のゴルフ場が経営に行き詰まり、次々と売りに出された。値崩れしたゴルフ場を手に入れてはどうか。そう提案したのが秋本である。
「彼は自動車部だから運転に自信があるわけです。で、とくにタイヤをスライドさせながら走るドリフト走行をやりたがっていました。ダートではやったことがあるらしいけど、コンクリートの路面でそれをやりたい、と」
 プライベートのレース場という現実離れした話をする割に、秋本の口調は穏やかだ。
「日本でも自前のレース場を持っている人が一人います。そうすれば日本国内でもナンバープレートを付けずに走れる。海外では個人でクラッシックカーのレース場を持っている人がけっこういます。たとえばカリフォルニアのワイナリーの中にレース場があって楽しんだり。まあ、車の世界にはそんな桁違いの人がいるのです」
 プライベートのレース場建設は実現しなかったが、その代わり井上は世界の富豪が集う名車の祭典に情熱を傾けるようになる。
(以下略)

文藝春秋digital「安倍政権の最側近」

 昨日アップされました文藝春秋digital「新・現代官僚論」の2回目は長谷川首相補佐官について。

 安倍晋三と仲のいい政府の関係者が言った。
「今年9月から10月にかけて関東を襲った台風15号や19号被害の際、経産省の課長級の役人が各市町村に出張って収集した情報を官邸にあげていました。従来、こうした自然災害では国交省が前線で情報を集め、警察や防衛省と連携しながら対応をしてきたが、いまだかつてない光景です。とりわけ東京電力を所管している経産省にとって、千葉県の停電被害が大きかったせいもあったかもしれませんが、そのあとの19号のときも同じ。今では災害まで経産省が主導して対策を練っています」
2012年12月に発足した第二次安倍政権において、7年のあいだ主要政策づくりを担ってきたのが経産省だといわれる。安倍政権の「下請け官庁」と称される。
戦後長らく自民党政権を支えてきた官庁は、財務省だった。その大きな理由は国家予算を預かってきたからにほかならない。そのため財務事務次官は日々首相に会い、新聞の首相動静にもたびたび登場してきた。そんな中央官庁における霞が関の力学は、政権中枢における人事配置などにも現れてきた。

 続きはbungeishunju.com/n/n2ac1bdac7a77で、無料です。

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プロフィール

森功

Author:森功
福岡県出身のノンフィクション作家。08年「ヤメ検」09年「同和と銀行」(ともに月刊現代)の両記事で2年連続「雑誌ジャーナリズム賞作品賞」。18年「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)が大宅壮一ノンフィクション賞受賞。
主な著作は「サラリーマン政商」(講談社)、「黒い看護婦」「ヤメ検」(ともに新潮文庫)、「許永中」「同和と銀行」(講談+α文庫)、「血税空港」「腐った翼」(幻冬舎)、「泥のカネ」(文藝春秋社)、「狡猾の人――防衛省を食い物にした小物高級官僚の大罪」(幻冬舎)、「なぜ院長は『逃亡犯』にされたのか――見捨てられた原発直下『双葉病院』恐怖の7日間」、「大阪府警暴力団刑事『祝井十吾』の事件簿」(講談社)、「平成経済事件の怪物たち」(文春新書)、「紛争解決人 世界の果てでテロリストと闘う」(幻冬舎)、「現代日本9の暗闇」(廣済堂出版)、「日本を壊す政商 パソナ南部靖之の政・官・芸能人脈」(文藝春秋)、「総理の影 菅義偉の正体」(小学館)、「日本の暗黒事件」(新潮新書)「高倉健 七つの顔を隠し続けた男」(講談社)、「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)、「地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団」(講談社)など。最新刊は「官邸官僚 安倍一強を支えた側近政治の罪」(文藝春秋)

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