2018-06

大阪地検の捜査はなぜ不発に終わったのか

 今週発売の週刊ポストに、森友学園捜査の内幕について書きました。以下、冒頭です。

 8億2000万円の値引きという森友学園への国有地売却の発覚から1年4か月、不発に終わった大阪地検特捜部の捜査は、すこぶるわかりにくい結末というほかない。なかでも財務省が首相夫人の存在を隠そうとし、土地取引に関する決裁文書の改ざんは、誰の目にも明らかだ。300か所にのぼる公文書の〝偽造・変造〟が、なぜお咎めなしなのか。官邸が捜査を封じ込めたのか。
 ごく素朴にそんな疑問が沸くほどの異常事態といえる。その疑問を解くため、捜査状況を改めて振り返る。
 大阪地検特捜部による捜査の端緒は昨年4月、市民団体からの告発だった。当初、特捜部が取り組んでいた容疑は、国有地の不当値引きによる「背任」、その背任を裏付ける交渉記録を廃棄した「証拠隠滅」や「公用文書毀棄」などだった。
 問題の決裁文書の改ざんはその直前、2月下旬から4月にかけてのことだ。「私と妻がかかわっていれば首相も国会議員も辞める」とした安倍発言を糊塗すべく、都合の悪い部分を消した、と誰もが見る。その改ざん後の決裁文書が、国会会期中に議員たちに公開された。

 官邸官僚の検察編とでもいえばいいでしょうか。ぜひどうぞ。

霞が関を牛耳る二人の警察官僚

 本日発売(明日が日曜日なので1日前倒し)の文藝春秋7月号に「官邸官僚シリーズ」の3回目を寄稿しました。

 その年は、失意の底に沈んでいた安倍晋三にとって、とりわけ寒い冬だったに違いない。二〇〇七年七月におこなわれた参院選の惨敗を受け、九月に政権を放り出した明くる〇八年二月十九日のことだ。一月に始まった通常国会で後継首相の福田康夫が国会運営に四苦八苦する中、安倍は早朝、ハイヤーで世田谷区富ヶ谷の私邸をあとにした。向かった先は、新潟県妙高高原にある池の平温泉スキー場だ。
 妙高高原アルペンブリックリゾートでスキー場やホテルを経営する荒井三ノ進が安倍を出迎えた。荒井は田中角栄や中曽根康弘の支援者として知られる一方、財界や官界の知己も多い。みずほホールディングス会長だった伯父の西村正雄を通じて安倍と知り合い、バックアップしてきた。
 荒井は首相退陣後、やせ細っている安倍を見るに見かね、気分転換を兼ねて自ら経営する温泉付きのスキー場へ誘った。と同時に、第一次政権で官房副長官を務めた的場順三ほか、官邸関係者数人を招待したという。その中の一人が、杉田博和(七七)だった。
「私は杉田さんのことはあまり知りません。杉田さんは荒井さんが呼んだのでしょう。それでたしかにお会いしました」
 当の的場に聞くと、そう認めた。(以下略)

 今回は警察官僚編、杉田、北村ラインの実像を……。

日大常務理事を訴えた建設業者

 今日発売の週刊文春に日大の記事を書きました。冒頭です。

「駿河台病院のすべての権利を、これでとれるんだ」
「えー、すべてではない」
「今回、現金ね、やる時ね、まぁ~、ほら変な話、うちの社内の経理が、みんながわかってやっている」
「わかりました。じゃー」
「そうですね。僕らもちゃんとやりますし、こういうことをお願いするわけだから。これに関しては、言われたとおりちゃんとやりますから」
「はい」
「清水の専務と日大の常務とお会いになって、いろいろとやるんですから、うまくいってくれればいい」

 二〇一三年八月五日に関係者のスマホに録音されたやり取りの一部である。もっぱら話しているのは、産業廃棄物処理会社「株式会社セイシン」社長の金岡孝一(43)で、答えているのが「株式会社NU校友会」副社長の三浦順一だ。

 アメフトだけではありませんぞ。

ようやく改ざんと訂正「麻生財務大臣」

 これまで「書き換え」という表現にこだわってきた財務省の麻生太郎大臣が、ことここにいたってやっと「改ざん」という言葉を使うようになりました。改ざんとなれば、その罪はすこぶる大きいはずですが、調査の結果、「主犯」と認定した佐川元理財局長は3か月の停職で、退職金が5000万円からその分の500万円減り、4500万円になるだけだといいます。また、麻生大臣にいたっては閣僚給与1年分の170万円の返上で大臣は続投。これで世の中がおさまるのでしょうか。
 佐川さんに対し、内閣府では「公務員を続けられないほどの重い処分だ」という話をしている役人がいるらしいけど、すでに公務員をやめているのだから、なんの意味もありません。国会であれだけの嘘をついてきた罪がこれほど軽いはずもなく、免職の上、退職金返上というのが普通ではないでしょうか。それでも当人にとっては塀の中に入らないだけラッキーということでしょう。
 これでは何のための調査、処分なのか、腹が立たない人はかなり鈍いのでは。

財務省「背任」「公文書変造」捜査不作為の罪

 大阪地検が佐川元理財局長をはじめとした財務省の公文書変造、背任容疑の告発を不起訴にする決定をした、と新聞各紙が報じています。すでに毎日が報じていて流れができていたようですが、さして問題視しないメディアの姿勢はどうでしょうか。
 そもそも不起訴になれば、検察はその理由の詳細を説明しません。起訴猶予や嫌疑不十分で、仮に疑いがあってもお咎めなしなのだから、世間に悪い印象を与えてはいけない、という人権上の理屈から、そうなっているようです。が、その実、疑惑はそこで闇に葬られてしまうことになります。
 だからこそ、権力の横暴を許さないことを旨とする特捜部の捜査において、不作為の捜査はあってはなりませんし、その罪は重い。財務省の捜査が本当に適当だったのか、何らかの政治的な思惑が働いていないのか、そこをチェックする最後の砦がメディアだ、というのは、もはや幻想かもしれませんが……。

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プロフィール

森功

Author:森功
福岡県出身のノンフィクション作家。08年「ヤメ検」09年「同和と銀行」(ともに月刊現代)の両記事で2年連続「雑誌ジャーナリズム賞作品賞」受賞。主な著作は「サラリーマン政商」(講談社)、「黒い看護婦」「ヤメ検」(ともに新潮文庫)、「許永中」「同和と銀行」(講談+α文庫)、「血税空港」「腐った翼」(幻冬舎)、「泥のカネ」(文藝春秋社)、「狡猾の人――防衛省を食い物にした小物高級官僚の大罪」(幻冬舎)、「なぜ院長は『逃亡犯』にされたのか――見捨てられた原発直下『双葉病院』恐怖の7日間」、「大阪府警暴力団刑事『祝井十吾』の事件簿」(講談社)、「平成経済事件の怪物たち」(文春新書)、「紛争解決人 世界の果てでテロリストと闘う」(幻冬舎)、「現代日本9の暗闇」(廣済堂出版)、「日本を壊す政商 パソナ南部靖之の政・官・芸能人脈」(文藝春秋)、「総理の影 菅義偉の正体」(小学館)、「日本の暗黒事件」(新潮新書)「高倉健 七つの顔を隠し続けた男」(講談社)など。最新刊は「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」。

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